2000年代初頭とは異なり、かつてのように数十人ものスタッフを抱える大規模サロンは大きく数を減らしています。
対照的に、近年はスタッフ2人~10人程度のサロンが増加傾向にあります。
競合相手が多い美容業界において
・回転数の向上(ワークフローの効率化)
・客単価の向上(プラスメニューや店販)
この2つは必須の課題と言っても良いでしょう。
回転数(客数)を上げるためには、まず相応の設備と人員が必要になります。
具体的にはシャンプー台やアシスタントが該当しますが、どちらも初期費用+ランニングコストが発生し、またスタッフがあぶれないよう集客にもコストをかけなくてはなりません。
対して単価向上のプラスメニューや店販への取り組みは技術や設備への投資コストが低く、導入するハードルは比較的低いと言えるでしょう。
今回は客単価を上げるために必要なメニュー提案と、それに伴うメリットに焦点を当てて解説していきます。
システムトリートメントのニーズ
美容師は「技術」を売る仕事ですが、同時に「時間」を売る仕事でもあります。
昨今はユーザーの多様化もあり、どの職種でも「人が動く(サービスを提供する)」仕事に対してシビアな面が取り上げられます。
例えば配送業は「ものを売る」ではなく「荷物を運ぶサービス」を提供する職種で、形になる何かを買い取ってもらう仕事ではありません。
ネットで何でも購入できる時代になり「その商品を倉庫へ保管して、梱包する人がいて、自宅へ届けてくれる人がいる」という部分に対するコストを理解できず、提示された販売価格に「割高感」を感じるユーザーが増えているということでもあります。
美容業界でも1000円カットやセルフドライの白髪染め専門店など、低価格を訴求性として売るサロンが多数存在し、一定のニーズに応えています。
そういった低価格帯との差別化を図るため、より専門性の高い「プロフェッショナルの商品」に価値を見出していただくため、独自の取り組みが必須になる時代もすぐそこに迫っています。
業界全体として、コロナ渦を経てハイトーンカラーやデザインカラーなどの流行もあり、客単価が向上している傾向にあります。
ヘアケア関連のメニューや商品が伸び始め、メーカーも顧客様の「たまの贅沢」に合致するシステムトリートメントに力をいれています。
ほとんどのサロンで導入されているシステムトリートメントは各メーカーから販売されていますが、共通するメリットや課題があります。
□メリット
○短時間での単価UP
○高度な技術を必要としない
○すぐに効果を実感できる
まず、最も大きなメリットは「時間がかからず、なおかつ単価UPが見込める」ということ。
また、カラーや縮毛矯正ほどに複雑な技術を要求されず、アシスタントでも十分な施術ができることが挙げられます。
なにより、サロンメニューならでは故に差別化が計りやすく、他のサロンメニューとの連動が容易な点も強みです。
□デメリット
×効果の持続性に個人差が生まれる
×施術中に手が空かなくなる
×材料費が発生する
基本的に施術をした直後が最上の状態であり、時間が経つにつれて効果が薄れることが問題点として挙げられます。
また、スチーム等の処理が入ることで多少の時間がかかり、スタッフの手が空かなくなることもあります。
そして、基本的に3~4アイテムの商品が多く、従来のシャンプーやトリートメントと比べ在庫が増える点が懸念されます。
生産性の向上
一般的なサロンメニューとして、
□カット
□カラー
□パーマ
□縮毛矯正
□トリートメント
□ヘッドスパ
□エクステンション
が、主に挙げられます。
この中で、着実に需要を伸ばしているのはトリートメントです。(酸熱や髪質改善を含む)
全国のサロンでは地域性や内容で異なるものの、平均的に3,000~10,000円くらいのメニューとして取り組んでいるようです。
(酸熱や髪質改善は+10,000~20,000円程度)
アシスタントのみの施術が可能で、なおかつサロンでしか得られないメニューになるため、双方にメリットがあります。
また、他の施術と比較してプラスメニューの提案がしやすいため、ここをどう強化できるかがサロン経営の要とも言えるでしょう。
サロンごとにややバラつきますが、平均して10分~40分程度をトリートメントの時間枠として設定するサロンが多いようです。
カット+トリートメントだと60~90分、カット+カラー+トリートメントで120~150分程度が一般的な時間の相場だと思われます。
システムトリートメント導入のメリットは、まず時短での単価UPを見込めること。
仮に15分の施術で¥5,000のトリートメントがあるとします。
その時間単価について、月に300名来店される仮のサロンモデルで利益を計算してみましょう。
・施術時間:15分
・メニュー単価:¥5,000
・サロントリートメント比率:総客の30%(90名/月)
・原材料費:15%
だと仮定します。
1回の施術で15分と設定しているので、時間単価に直すと×4名で¥20,000です。
1回当たりの材料費は¥750、つまり利益は¥4,250/人で、実際の利益は¥17,000となります。
トリートメント比率は300名/月に対し30%(90名)なので、総利益は¥1,530,000にもなります。
これはアシスタントだけで行えるサロンメニューとしてはかなり高額な部類に入ると思われます。
スタイリストが必要で、なおかつ長時間の施術が必要なストレート系トリートメントよりも時間単価が高くなります。
つまり生産性の向上という視点では、ある意味で最も利益を生みやすいメニューだとも言えるでしょう。
お客様の満足度を上げることはもちろん、ホームケア用のトリートメントをお試しいただくことで美容に対する感度の向上も見込めます。
美意識の向上はサロン来店頻度の向上や、プラスメニューの検討などにも繋がる可能性が出てきます。
何より、美容師への信頼にも繋がり、お客様との長いお付き合いの基礎にもなり得るでしょう。
メリット
まず挙げられるのは、お客様の要望である「綺麗な状態を維持する」ことが可能になる、大きなピースであること。
美容室で綺麗になったお客様の髪を、次の来店まで維持させることは美容師の大切な仕事です。
唯一、その役割を担えるのが「システムトリートメント」と「店販」です。
システムトリートメントの持続はおおよそ2~3週間程度が目安となりますが、だからと言って2週間おきに美容室へ来店してもらうことは不可能です。
店販についてもシステムトリートメント程の効果は期待できないため、今まではどうしてもお客様の髪の状態を長い期間カバーしていく事は難しい部分もありました。
そこでサロン施術と同じシステムトリートメントを店販として販売することで、次回来店時までの長い期間をサロンと同じレベルのケアでカバーしていくことが可能となるのです。
また、システムトリートメントの延長として提案できる店販商品も非常に大きいポテンシャルを秘めています。
店販の最大のメリットは「施術時間ゼロ」という点。
サロンスタッフが時間をかける必要が無く、その上でサロンクォリティの維持をセルフケアで可能にできます。
また「サロントリートメント+お持ち帰り用店販」というシステム自体が競合相手が少なく、さらにパブリック商品よりも効果が見込めるというブルーオーシャンの市場になっています。
「サロンで行うトリートメントメニューが、自宅で手軽にできる商品」を“美容室が販売する”という今までにないメリットは、ネット市場で展開する際に非常に大きな独自の魅力となるでしょう。