オリジナルの化粧品を販売するにあたり、避けられないのがコストに関わる問題。
近年は異常気象の影響で原料価格が高騰しており、それによりOEMのコストも上昇傾向にあります。
予め決められた予算の中で、どう商品を開発するのか?
今回はOEMにかかる費用を、具体的な例を用いてご紹介いたします。
費用概算
大まかな費用についてですが、主に「バルク代」と「資材代」を合算してコストを数えます。
バルク(製品)代
バルクとは、化粧品の中身のことを指します。
シャンプー・トリートメント・化粧水や美容液・ジェルやクリームなどがこれに当たります。
容量や成分により価格が大きく変動しますが、最も変わるのは「作る量」です。
基本的に化粧品は決まった容量の釜で作られ、工場にもよりますが大体100kg・200kg・400kg、、のように区切られています。
極小ロットにも対応しているメーカーもありますが、作る工程や手間が大きく変わることは無いため、容量が少ないほど割高にはなっていきます。
たまに極小ロットでも低コストで作る工場もありますが、その場合は処方や香りは確定していることが多いです。
予め用意された容器に充填するだけの作業に絞るからこその低コストなので、独自の処方を組んでもらえることはありません。
資材代
主に中身を入れる容器・容器を入れる化粧箱・商品を包むビニール等がこれに該当します。
サロン専売品はもとより、パブリック商品は「見た目」が消費者のイメージに大きく関わるため、非常に大事な要素になります。
□容器
容器はボトル・ポンプ・キャップなど個別に計上され、着色や印刷、エアレス容器など、製造工程が長くなるほどにコストが上がっていきます。
バルクによっては透明ボトルNGだったり、腐食性(精油配合など)の可能性があると使えない容器もございます。
また、プラスチックとガラスでは重量や耐久性が異なり、配送の際の料金に差が出たりすることもあります。
□ラベルや印刷
容器と重複しますが、容器への印刷やラベルデザインもコストがかかります。
商品のイメージを表現するデザインや、法律に則った裏面の表記が必須になります。
ラベルも容器に張り付ける業務用のものでなくてはいけないため、通常のプリント印刷のようなラベルは使えません。
化粧箱を採用する際はこの印刷を全て箱に施すことも可能ですが、無加工の容器をそのまま販売することはまずありません。
また、デザイン料や印刷用の型代もここに含まれます。
□化粧箱
必ず必要ではありませんが、商品の高級感を演出するために極めて大事な要素となります。
商品の耐久性の向上や、保管のしやすさにも関わります。
紙の質や厚み・形状・印刷や加工の種類などでコストも大きく変動します。
□梱包や配送
最終的に商品を納品する際のコストで、商品同士の破損を防ぐための緩衝材などが該当します。
ある程度のロット数になると、まとまった段ボールの数になるため、配送への配慮も必要不可欠なものになります。
ダンボールの大きさや重量が配送コストに関わるため、それらを考慮した薄型や軽量の容器などを採用するメーカーも増えています。
具体的な参考例
以上を踏まえて、実際の具体例を紹介します。
まず大前提として、ロットが大きくなるほど単価は下がります。
工場の規模にもよりますが、少なくても3000本、多いと10000本~の製造で経済ロットとなることが多いです。
一方で、ロットの数が増えるほど在庫リスクも大きくなっていきます。
その間の商品管理も必要になるため、想定よりも手間やコストが発生することが少なくありません。
一般的に化粧品の使用期間は「製造後、未開封で3年」というルールがあるため、その間に売り切れるよう販売計画を立てる必要があります。
バルクは処方によって大きく費用が変動し、また製剤(水性・乳液・クリーム系など)によっても変わります。
明確に答えるのが難しいので、ここは割愛させていただきます。
容器は最もシンプルな容器+キャップでも120~200円/個くらいが相場だと思います
シャンプーやハンドソープなどに使われるプッシュポンプになると、その2倍くらいの250~350円/個くらい。
エアレス容器などの特殊な構造のものはそれ以上になります。
化粧箱はサイズにもよりますが、基本的に150~400円/個くらいが相場です。
紙質や厚み・加工や印刷の工程などで大きくコストが変わります。
つまりバルクに関わらない、商品としての「見た目」だけで250~1,000円/個くらいのコストになる可能性があるということです。
また、容器の着色や加工などはある程度の数量でないと委託できない場合も多くございます。
メーカーにもよりますが、大体3,000-5,000個~というメーカーが多いです。
では、シャンプーを作った際のコストモデルを見てみましょう。
仮に300mlで販売価格2,000円のシャンプーを作ろうと企画した場合、ロットを200kgと仮定すると、

このように、およそ666本のシャンプーが完成します。
ボトルは一般的なプッシュポンプで¥300/個と仮定し、1000個の発注で合計¥300,000。
ラベルはデザイン料や印刷代を含めて¥100/枚と仮定し、700枚の発注で合計¥70,000。
化粧箱は使わず、その代わりにシュリンク包装を採用。
基本的に、666本のボトルが必要だから666本だけ作ってくれる容器メーカーはありません。
(※例外として、製造元工場が持っているボトルの在庫があれば、可能な事もあります)
梱包や配送料など、その他雑費を加味すると666本のシャンプーを作る為の資材費用だけで¥450,000くらいのコストが予想されます。
これを単価に直すと、資材の費用だけで約\670/個となり、それなりのコストがかかることが分かっていただけると思います。
コストを抑えるために
このように、資材だけでもそれなりのコストが発生するため、ビジネスとして取り組むにはどこかでコストを抑えなくてはなりません。
では、どのようにコスト削減をするべきでしょうか?
◎優先順位を設ける
「中身にもこだわりたいし、デザインにもこだわりたい、販促にも取り組みたい」など、理想とする化粧品ビジネスを実現するために色々な案があると思います。
それ自体は悪くないのですが、企画としての優先順位が決められないクライアントは、実際に商品化を諦めるケースが少なくありません。
その理由として、処方面では「良質な商品を作る=配合成分が増える」ことが多く、結果としてバルクのコストが増えることが多いです。
もし原料コストに妥協をしない場合は、それ以外の資材コストで妥協する必要が必ず出てきます。
限られた予算内でどのように理想を追うのか、企画の段階でハッキリと決められないと商品開発は難しくなってしまいます。
そのためにも、内容で勝負する高品質な化粧品なのか、デザイン性が目を引くオシャレな化粧品なのか、ブレないコンセプト作りが大切です。
○小ロットで製造する
割高なコストにはなってしまいますが、ロットが小さければ総合的な費用もある程度抑えられます。
試験的に始めて、顧客様の反応をモニタリングするのもまた一つの戦略だと思います。
配送費用や倉庫賃料などの抑制にも繋がり、初めてのOEMの選択肢として考えてみるのも良いでしょう。
△既存の処方で作る
強くオススメはしませんが、ゼロスタートの処方開発は時間とコストがかかります。
OEMメーカーが持つ処方レシピに沿った商品であれば、時間もコストもある程度は抑えられるでしょう。
反面、他社との差別化が難しい課題もあり、訴求性のあるマーケティングへの依存度が大きく高まります。
△資材を海外に発注する
こちらも強くオススメはしませんが、容器や化粧箱を海外メーカーに発注する選択肢もあります。
以前は大きなロット限定でしたが、現在は数百個~という小ロット対応の工場も増えており、日本製の資材と比べコストが抑えられる傾向があります。
しかし為替の影響で大きく円安に振れ、また海外からの配送費用の高騰により大きなコストカットは難しい可能性もあります。
また、外国製の資材は日本の安全性基準に満たないケースもあり、場合によっては工場の受け入れ不可、というケースも少なからず発生しております。
最後に
OEMのコストとして、資材にかかる費用はご理解いただけたかと思います。
限られた予算を有効に使うため、コストカットは避けて通れない問題になります。
低コストを売りにするOEMメーカーもありますが、こだわりのある化粧品を作る上で選択肢に入ることは多くはないでしょう。
また、ここでは紹介しませんでしたが、製造にあたりアドバイスやフォローをしてくれるメーカーも多くはありません。
化粧品を作る加工メーカーと、化粧品を売る販売元では商品設計に齟齬が生まれやすく、最終的には経験値がものを言う側面があります。
コストを考えるのは非常に大事なプロセスですが、それが決め手でOEMメーカーを選ばないよう、気を付けましょう。